
10:00~文化財保護事務所 法隆寺出張所
説明者 奈良県教育委員会
奈良県には棟梁、人夫、技師が職員としています
現在、県職員の大工さんが8名、技師が15名、法隆寺付きは大工2名、技師3名
それ以外にも通常、お寺さんが大工を抱えており、有名は宮大工
西岡棟梁もここ、法隆寺が抱える職人街で生まれ育ちました
西岡常一の言葉
書籍「木に学べ」より
○法隆寺を知らなんだら文化人やないいうてぎょうさん人が見に
来ますがな、ネコもシャクシもみな法隆寺や。ちっとも法隆寺の
ことわかってないのや。ただ古いからゆうて見にくる。
ただ古いのがええんやったら、その辺の土や石の方がよっぽど古い。
○古いからここを見にくるんじゃなくて、われわれの祖先である
飛鳥時代の人たちが、建築物にどう取組んだか、人間の魂と自然を
見事に合作させたものが、法隆寺やということを知って見に来て
もらいたいんや。
○わたしらは堂や塔を建てるのが仕事ですがな。仕事とは「仕える事」と
書くんですわな。塔を建てることに仕えたてまつるいうことです。
もうけとは違います。そやから心に欲があってはならんのです。
(建築や木に関心が無いとしても、感性を刺激するとてもいい本です)

本題に戻ります
元来国が行ってきた重要文化財の保護を現在県レベルで行っているのが
京都府、奈良、滋賀です。また和歌山は財団で運営しています
文化財としての考えが生まれたのが
明治以降、それまではただの建築物としての認識でした。
改修もリフォーム感覚でした。
現在は日本の国の東京文化財協会(全国の技術者100名)が
価値を下げない方法を海外の意見も取り入れ
今は欧米との協定に沿ったルールの元管理をしています。
その上で改修をするので、静岡の駿河湾地震で壊れた石垣の復旧も
新築した方が安いのですが、「本物で無いと人は飽きる」「文化を残す」
理由から大変お金と時間が掛かっているそうです
また、一方で改修も行政決まりで入札制度の元で
業者が選定されて、改修が行われる事への弊害も出ているようです
地域で取れた木が一番なのですが・・
慣れた伝統技術者が改修を行うのが一番なのですが・・。
(外された瓦、鎌倉、室町時代によっても一枚一枚全て形が違います)
これにより、奈良県では
文化財修繕特区の申請を国に行っています
法隆寺は西岡棟梁の頃から大規模な改修を行っております
今回はこの改修した木材の保管庫、保管方法なども拝見させて
頂きました

中でも、1350年前に建設した当時から支えてきた芯柱に触れる
事ができました
乾燥しきったその木材は歴史を超えた威厳を感じさせました

この法隆寺の桧は建ってから1350年、この世に芽を出して
切られるまでに1400年以上
私が触れたこの木材は2800年前から存在していると思うと
人の一生の短さを感じます
その中で遺す文化とは・
今回の視察で一番心に残った事は
「文化は作り出すもの」です
法隆寺は古いものが残ったから、次の文化を創ろうとする
動きが起きない。
これから200年後の先の子ども達が見て、感動して残したいと
思うものを今の人が残すことが出来るか、考えるのも文化ですよ」
と教えられました
静岡市にも新たに国宝となった久能山東照宮があります
当然、後世に伝えてゆく最重要な文化遺産の一つです
一方で、何を我々現世代が残すか、もう一度考えたいですね
14:00 西岡常一資料展
16:30 京都府 デザオ建設
森と住まい100年の会
100%地域材を用いた住宅建設について
2000年から国産材の利用を推進し、土佐の人口乾燥材を利用
2004年京の森ネットワークを設立
一時は新築材の全てを国産材で賄ったこともある
製材業は京北プレカット(京都府出資)、地元大工と手を組んで
京都産材の木材利用を進めた
坪単価は60万円 大手ハウスメーカーよりは安い
地産材利用促進のポイント
○ 木材のストックが必要
これまで市場へ出す、流通だけであった
○ 付加価値を付けること
○ 新たな製品ニーズへ
林ベニアと云う会社が京都府産材のみを利用した
合板ベニアを開発 価格も輸入合板並である
2020年までに国産材利用を倍の50%にするためには必要
静岡市も2500万円の開発費補助を地元企業に出していたはず
勉強なりました
帰って活かします